地域活性化のため、自治体が招いたあるコンサルタント会社の社長(当時)が、社外の関係者に「行政機能をぶん捕る」「(自分たちは)第2役場」などと発言した内容がインターネットで公開され、波紋を呼んだ。国が「地方創生」の旗を振る中、自治体とコンサルの関係はどうあるべきなのか。この社長や同社が関わった、複数の自治体を取材すると、課題の一端が垣間見えた。
過疎の町に降ってわいた救急車事業
人口約8千人の福島県国見町で2022年春、救急車の研究開発事業が始まった。同年4月に全域が過疎指定を受けるなどし、対策が急務だった町は、宮城県多賀城市のコンサルティング会社から「町を防災産業と知の拠点にしたい。そうすれば人が集まる」と提案されていた。
高性能な救急車12台を町が所有し、他の自治体などに貸し出し、データを集めて救急車の開発に生かす。新たな防災産業の創出で税収が見込まれ、地域経済への波及効果や雇用・定住の促進を期待できる――。そんな青写真を描いていた。
だが、23年3月、東北のブロック紙「河北新報」の記事で、事態は一転した。事業を町に提案し、公募型プロポーザルを経て受注したコンサル会社の社長の発言を取り上げていた。
記事によると、社外の関係者…